あかねの日記

惰性で続けるブログ

「ショップ千恵」のつげ櫛

今のつげ櫛を使い始めてから、もう二十年以上が経つ。

「ショップ千恵」を知ったのは、まだ立ち上げ間もなかった@cosmeがきっかけだった。ヘアケアグッズのカテゴリで圧倒的な高評価を得ており、そんなものを見てしまったら気にせずにはいられない。

しばらくは「ショップ千恵」のサイトを眺めているだけだったが、やっぱり欲しいとなってアルバイト代で買った。十代後半の私にとっては高い買い物だった。

サイトでは、定番の解櫛から、ブラシ、セット櫛、手つき櫛など様々な種類ものを取り扱っていた。立体的な彫りの入った櫛も色々あったが、華やかで美しい分お値段に跳ねてくる。

どのデザインにするか悩んだ。また、違うタイプの櫛を揃えておきたかったので、どの組み合わせでいくかも悩んだ。

結果、シンプルな「荒歯の櫛」と「手つき櫛」がセットになったものに決めた。使いやすくて飽きもこないだろうと思って。その思惑通り、今でも飽きずに使っている。死ぬまで使うつもりでいる。

たまに椿油を塗り込んでいる

「ショップ千恵」は、最初はその名の通り「千恵さん」という女性が運営しておられたそうだが、千恵さんがお亡くなりになられた後は旦那さんである「おっちゃん」がお店を引き継いでいた。私が購入したのはそのころ。

前述の通り、つげ櫛は私にとって高価な買い物だったので、触れれば壊れるかのようにおそるおそる使っていた。というか大事にしすぎてどう扱ってよいものか分からなかった。

そこで、おっちゃんに「どうやって使えばよいのか」という今から思えば大変馬鹿らしいメールを送ったところ、おっちゃんは真摯で丁寧なお返事をくれた。私のために書いてくれたんだなというのが伝わってきて、とても嬉しかった。「普通の櫛と同じように毎日使ってあげて」と言われて、やっとつげ櫛を普通に使えるようになった。

 

おっちゃんはメールマガジンも配信しており(懐かしきマグマグで)、届いたときには必ず目を通していた。サイト内の紹介文や返信いただいたメールと同様に、虚飾がなく包容感にあふれており、読んでいると癒される感じだった。

そのうち、「体調が優れないためメール配信の間隔が空くかもしれない」というご報告があり、それでもたまに届くのを楽しみにしていたのだが、最後は娘さんからおっちゃんが亡くなられたとのご連絡があった。お店も閉店するとのことだった。

 

この記事を書くに当たって「ショップ千恵」のことを改めて検索したところ、くしのみせ泉というお店が後継に当たるらしい。(が、品切れも多い様子。)

「ショップ千恵」の櫛を使っておられる方のブログ記事をいくつか見つけて、同じようにおっちゃんのことを覚えている方もいらっしゃるんだな、ととても懐かしくなった。

おっちゃんからの返信もメールマガジンも、私の受信フォルダの奥底に今でも残っている。