あかねの日記

惰性で続けるブログ

言葉にできない

今年もラファウ・ブレハッチのピアノリサイタルに行ってきた。

去年のリサイタルですっかり虜にされてしまい、今年も行くのが当然の如くチケットを購入した。当初の見込みより仕事がハードスケジュールになってしまったが、予定通り行けて本当によかったと思う。

最近はこれを目の前に人参としてぶら下げながら、馬車馬のように働いている気分だった。こんな日に限っての出張を終えたあと、ボロ雑巾さながらの状態で会場にたどり着く。思考回路はショート寸前。

 

最後の方から書いてしまうと、アンコールに三回も出てきてくれたのが嬉しすぎるサプライズだった。「もっと聴きたい」と言わんばかりの期待に満ちた拍手が鳴り止まない。アンコールを重ねるごとにスタンディングオベーションが続出。熱心なファンも多い様子だった。二回目のアンコールの退場後、聴衆が一致団結しダメもとで拍手しまくっていたら三回目も出てきてくれた感じで、それが微笑ましくおもしろかった。

ブレハッチは一見物静かな佇まいなのに、相変わらずところどころの動きがチャーミング。これがあざとかわいいというやつか?全然許せる。真面目そうに弾いていたのから一変、アンコールの演奏は余裕綽々に見えた。

アンコールの演目がこれまた最&高、もとい最高オブ最高だった。ショパンの英雄ポロネーズ、マズルカOp.6-2、軍隊ポロネーズ。今回もポロネーズを聴けるとは思いも寄らなかったので、喰い気味に聴き入った。やはりポロネーズはいい。変な表現だが、CDと同じ音がしていた。そして当たり前だが、CDとは比べものにならないくらい良い響きだった。

プログラムのメインはマズルカ集とピアノ・ソナタ2番だったが、マズルカは前奏に過ぎなかったような気がする。ピアノ・ソナタ2番はとてもよかった。何であんな音が出せるのか、謎技術すぎる。これからしばらくは、手元の音源をリピート再生することになるだろう。

 

たまにルービンシュタインやホロヴィッツの古い演奏動画を見て、この人たちの生音ってどんな感じだったんだろうと考える。聴けるものなら聴いてみたいけど、鬼籍に入っているものはどうしようもない。

なぜ惹かれるのかうまく言葉にできないが、現在を生きているピアニストの中で、毎年チケットを買って聴きに行きたいと思えるのはブレハッチだけだ。