今読んでいる、髙村薫の時評集。今年の八月に発売された最新刊を図書館で借りてきた。
『サンデー毎日』に掲載された時評のうち、2021年6月から2023年6月までの二年分が収録されている。読んでいるうちに「そういえばこんなことあったな」と思い出してくる。思わず納得なところも、そうでないところもあったが、記録に残してくれること自体がありがたい。
いつ頃デルタ株が流行り、いつ頃オミクロン株が流行っていたかなんて、今ではあやふやだ。移り変わりが激しくて覚えていられない。
政治や事件もしかり。うやむやにされたり、現在進行形だったり、当時より悪化していたりする。まだまだ過去の出来事ではないが、庶民は自分の生活で精一杯よ。
それにしても、この本を読むと日本の政治の杜撰さがよく分かる。公文書や統計データを改ざんしたり、名簿や帳簿をうっかり処分したり、オリンピックで談合したり。それで当たり前の感覚なのか。一般企業なら厳しく法令違反や罪に問われるようなことを、臆面もなく発表してくるところがヤバい。トップが筋道立てて説明できない、そもそも説明する気がない、それを隠そうともしないのがまたヤバい。
政治の良し悪しは置いといて、スピーチに関して言えば、ドイツのメルケル元首相やアメリカ合衆国のバイデン大統領を例を見ていると、こんな人たちがトップでいいなあと思う。
日本においては、真面目にやるほど馬鹿らしい、そんな気持ちにさせるのが抜群にお上手。こっちは手間暇かけて対応しているというのに。表に出てこない数多の公務員の方々だって気の毒だ。
とりあえずコンプライアンス教育のeラーニングでも受講して意識を高めて下さい。それ以前の資質の問題だとは思うけど。