あかねの日記

惰性で続けるブログ

普通におもしろい『カラマーゾフの兄弟』

『カラマーゾフの兄弟』(岩波文庫)を読み終えた。

先日もちょっと書いたが、陰気で難解な話と思いきや、壮大で深淵、かつロシア式ユーモアに富んだ大変おもしろい作品だった。冒頭の訳者解説もとても良くて、「そういう意図があるのね」というのが分かりやすかった。

登場人物のざっくりメモ

  • フョードル(父):やるなと言われたことをやらずにいられない、お茶目なおじさん。お高くとまった人をおちょくるシーンでは、「いいぞもっとやれ」と思いながら読んだ。あらすじ的に序盤で殺られるのかと思ったら、事件が起こるのは物語の後半を過ぎてからだった。

  • ミーチャ(長男):脳が筋肉でできていそうな人物。ナチュラルにパワハラ・モラハラを繰り出してくる。フョードル(父)と違い、自覚がないぶん質が悪い。自分は高潔な人間だと言いながら、矛盾を指摘されると瞬時にキレる。この人はパーソナリティ障害か何かだと思う。借金をことごとくお断りされたり、濡れ衣を着せられ尋問されたりするシーンでは、「ざまあ」と思いながら読んだ。

  • イヷン(次男):インテリ無神論者。小難しい論法で人を煙に巻きながらも、自分の中の矛盾に翻弄される繊細な心の持ち主。事件後に考え込み過ぎて、精神を病んでいく。幻の紳士が見えるようになる。たいていの読者は、三兄弟の中でいうと自分はイヷンタイプだと思うのではなかろうか。

  • アリョーシャ(三男):徹頭徹尾いい人。それがゆえに、周囲からのヘビーな相談を引き寄せがち。みんなアリョーシャを使い走りにしすぎである。しかしアリョーシャは嫌な顔ひとつせず、親身になって東奔西走するのであった。

  • ゾジマ長老:アリョーシャの師。長老のターン(第六篇)は深くていい話だった。

読んでいると古い文体がクセになってくる。ウォートカやコニヤクは定番の飲み物。

次は『罪と罰』に手をだそうと思う。