あかねの日記

惰性で続けるブログ

マーガレット・アトウッドを読む

今週の読書。

マーガレット・アトウッド『侍女の物語』と、その続編である『請願』。『誓願』はまだ途中。半分くらい読んだところ。

先週読んだ『心的外傷と回復』と同じく、この二作品も『100分で名著 フェミニズム』にて紹介されていたものだ。おもしろそうだったので、この秋の読書セレクションに追加した。

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あらすじ

舞台であるギレアデ共和国は、近未来のアメリカにキリスト教原理主義勢力によって誕生した宗教国家である。有色人種、ユダヤ人を迫害し他の宗派も認めない。

内戦状態にあり国民は制服の着用を義務づけられ監視され逆らえば即座に処刑、あるいは汚染地帯にある収容所送りが待ちうけている。

生活環境汚染、原発事故、遺伝子実験などの影響で出生率が低下し、数少ない健康な女性はただ子供を産むための道具として、支配者層である司令官たちに仕える「侍女」となるように決められている。

(侍女の物語 - Wikipedia から抜粋)

一作目の『侍女の物語』は、ある一人の<侍女>の視点から淡々と語られる。断片的な情報を繋ぎあわせていくうちに、どんな世界で暮らしているのか明らかになってくる。ディストピア小説と言われているけれど、今の世界で普通に起こり得そうなところが怖ろしい。

『誓願』はそれから15年後の世界。異なる立場の女性三人の視点から物語が進んでいく。手記のような形を取っているのは、一作目と同様。謎が解き明かされていくいく様子がミステリーっぽくておもしろい。最近になってこの作品が出版された意味って何だろう?と考えてしまう。

 

この二作は出版・翻訳された時代が違うし、訳者も異なっている。続けて読むと表現の違いに結構目が行く。一作目では<女中>(女性の身分の一つ)と書いてあったのが、続編では<マーサ>となっている。

続編では<侍女>に「ハンドメイド」、<小母>に「アーント」といった振り仮名が記載されている場合もある。英語をカタカナ読みにした方が元のニュアンスは伝わりやすいのかもしれないが、イメージしやすいのは漢字の方だ。一長一短。

あと、続編はわりと括弧書きで注釈を入れてくれている。一作目は靄に包まれたような雰囲気だったので、注釈なしではっきりさせないのが合っていた。続編は確かに注釈ありの方がいいな。そうでなければ、意図が隠されていること自体に気付かないまま通り過ぎてしまいそうだ。