あかねの日記

惰性で続けるブログ

神のような客でありたいとき

以前コンビニでチケットを発券したとき、アルバイトの高校生だと思われる店員に対応してもらった。「研修中」と名札に付いていた。

チケットを受け取るとき、彼女が

「この美術館の近くに住んでいたことがあるんですよ。すごくいいですよ!」

と言い添えてくれた。

 

ただの社交辞令なら困る場面だ。個人的なことにむやみに踏み込まれたくない。通常は能面のような表情で「そうですね〜」と言って終了させるか、困った雰囲気を出しながら笑って誤魔化す。

しかしこの時は、彼女の言葉を聞いて嬉しく思った。なぜなら、まだ仕事に慣れない中で彼女なりに精一杯考えて声を掛けてくれたと感じたからだ。自分の役割をこなそうという姿勢や、気持ちのよい接客をしようという意識が伝わってきた。

客のパーソナルな情報を話題にすることは、店員としてはルール上してはならないことかもしれない。それとも、よい接客に必要なことなら暗黙のうちに許される範囲のことかもしれない。このあたりは店の顧客層や立地にも寄ると思う。客側にも気にしない人もいれば、嫌だと感じる人もいる。

 

彼女を見ていて、自分が社会人になりたてのとき、会議でなかなか発言できなかったり、見当違いのことを言ったりして、周囲とのやりとりに試行錯誤したことを思い出した。そしてそれをフォローしてくれた周りの大人たちのことも。まだ若い彼女が考えた上で発言してくれたことに、私も感謝を示したいと思った。

「ありがとうございます。楽しみにしているんです。」

と明るく返すことができた。

仕事をしていると理不尽な客だっているし、やりきれない気分のときもある。しかし気持ちのこもった接客をしてくれる方々に出会ったら、自分もよい反応を返せる客でありたいと思う。それだけでお互い清々しい気持ちになれる。時間が経っても嬉しかった記憶として残る。